第23章 1%を100%に
一番星が現れ、二番星、三番星と星が夜空に瞬きだした。
佐助は久しぶりに忍び装束に着替え、タイムスリップをした時の荷物と幸村から届けられたものと、その他諸々を風呂敷包みにまとめて待機していた。
じれったい思いで待つこと半刻。
夜空一面に広がる星空に佐助は感謝した。
佐助「曇らなくて良かった!」
お手製の望遠鏡をのぞいて、ここ数か月繰り返したワームホールの計算をする。
その手にはペンだこが出来ていた。
サラサラと動いていた鉛筆の動きが止まった。
佐助「嘘だ……発生確率100%なんて…」
紙面を確認しても計算違いはしていない。
誰も居ない部屋でフッと呆れ混じりの笑いが響いた。
佐助「科学において何事も100%というのは難しい。まして相手は未知の現象だ。
舞さん、君の想いの強さははかり知れない。
謙信様もよくあの状態で持ちこたえてくれた」
時を隔ててもなお想い合うふたりに胸が熱くなった。
(あの二人が出会ったのは運命だったんだ)
早くこの吉報を謙信様に届けたい。
佐助「時間がないな、急がないと」
佐助は立ち上がると荷物を持ち、廊下を走りながら牧を呼んだ。