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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第23章 1%を100%に


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別邸にて謙信と義元が会っていた頃、佐助は春日山城の自室で、ここ数日の星の動きからワームホールの兆候を捉えていた。

石碑を土中に埋めて以来兆候が現れ始めたことから、佐助は予想が間違いではなかったと確信した。

しかし兆しは不安定で確率、場所、時間が計算する度に変化した。
日に何度も計算することが増え、鉛筆を握る手が痛いくらいだ。

昨日のデータを調べると舞が帰って以来の高数値で、だが日時がはっきりしなかった。

今夜のデータが今後を左右する、佐助はそんな予感がしていた。


佐助「どこだ、いつ現れる?」


別邸で療養している謙信の様子は逐一耳に入れているが、もうこれ以上時間がない。

焦る一方、ワームホールが開くと確定した場合に備えなければいけない。


佐助「牧さん!牧さんは居ますか?」


佐助は紙と鉛筆からは目を離さず、近くで護衛しているはずの牧を呼んだ。


牧「どうした?」

佐助「すみませんが今夜別邸に行くことになるかもしれません。
 いつでも出られるように馬の準備をしてもらえませんか?」

牧「謙信様より佐助を絶対外に出すなと命が下っている」

佐助「今回のことだけは別です。謙信様は俺が持ってくる『ある知らせ』をずっと待っているんです。
 早くこの知らせを持っていかなければ謙信様は手遅れになってしまいます」


牧は逡巡し、やがて頷いた。


牧「お館様の命に関わるというなら致し方ない。俺以外にも護衛をつける。それが条件だ」

佐助「ありがとうございます。あともう一つ、幸村にこれを用意するように伝えてください」


佐助は計算していた紙の端っこを破りとって鉛筆で走り書きして牧に渡した。


牧「わかった」


牧は表情なく頷くと去っていった。佐助は見送ることなく机の上の計算式を見つめた。


佐助「今夜だ、今夜の星の動きを見なきゃいけない。早く、暗くなってくれ」


佐助は逸る気持ちで茜色に染まり始めた空を見上げた。


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