第23章 1%を100%に
牧「行くのか?」
音もなく現れた牧に佐助は頷く。
佐助「牧さん、今から言う場所に馬を2頭、いや念のために3頭用意してもらえませんか?」
佐助は3か所の場所を指定した。
佐助「おそらく馬を休まず走らせる強行軍になります。馬を変えなければたどり着けないんです」
牧「待て、別邸に行くだけじゃないのか?」
佐助「別邸に行き、謙信様と合流します。そこから馬で向かうところがあるんです」
佐助が目的地を告げると、
牧「何故そこに行かねばならないのか聞いてもいいか?
休まず馬を走らせるにはお館様は弱りきっている」
淡々とした口調だったが牧が謙信を心配しているのが伺えた。
佐助「謙信様が探し求めている人に会いに行くためには、そこに行かなければならないんです」
牧「舞様かっ!」
佐助「ええ」
二人は会話をしながら廊下から庭に降りて目にも止まらぬ速さで横切った。
庭のウサギ達が驚いて跳ね飛んだ。
塀をよじ登って降りるとそこは城門近くで、あらかじめ頼んでいた馬が繋がれている。
牧「行け!俺は指定の場所に馬の手配をしてから別邸に向かう」
佐助「ありがとうございます、牧さん!」
佐助は馬に跨り鐙に足を駆けると、一気に駆けだした。
その後を追うように護衛役の軒猿と三つ者がついていく。
佐助「謙信様っ、待っていてください」
佐助の姿を宵闇が覆い、その姿があっという間に城から見えなくなった。