第23章 1%を100%に
佐助「今から俺と舞さんが戦国時代に飛ばされた時のワームホール発生率を割り出してみようと思う。
過去の発生率を割り出すのは初めての試みだから上手くいくかわからないけど、ちょっと気になるんだ。
あの時、事前に出ていた数値はとても低かった。もしかしたら直前になって数値が変動したのかもしれない」
ブツブツと仮説を口にしながら机に向かうと、幸村があきれ顔で見ている。
幸村「まだやるつもりかよ。まあでも、佐助が諦めてねぇなら俺も手伝ってやるよ。
お前がそうしている間は俺が謙信様の傍についててやるから心配すんな」
佐助「ありがとう幸村。放っておくと謙信様は寝食忘れてぼーっとしているから心配だったんだ。
なるべく早く結果を出せるようにするよ」
幸村「あの亡霊みたいな謙信様をボーっとしてるなんて生易しい表現ができんのは佐助くらいのもんだろ。
倒れない程度に頑張れよ。佐助しか居ないんだからな、わーむほーるの計算ができるやつは」
佐助「大丈夫、謙信様に日頃鍛えられていたおかげでこのくらい序の口だ」
笑って見せると幸村が『謙信様と佐助の体力はどうなってんだ?』とブツブツ言いながら立ち上がった。
幸村「そういえば春日山城下で明智の姿が確認されたらしい。
佐助の護衛に牧をつけるって言ってたぞ。お前も色々と大変だな」
佐助「今はこの部屋から出る余裕がないから、いくら斥候や忍びが増えても俺にとってはあまり変わりはないけどな。
けど光秀さんまでくるなんて、よっぽど舞さんは安土の武将達に気に入られていたんだな…」
舞さんの文を受け取って数日もしないうちに、安土の斥候と思わしき影を城下でちらほらと見かけるようになった。
城の周り、城門まで見張りがいるとの報告だった。
狙いは……俺だ。
信玄「安土の連中は姫と同郷の佐助から話を聞きたいだけなのかもしれないが、今佐助を連れ去られたら困る」
そういって信玄様は三つ者を配備してくれた。体調が悪化する前のことだ。
正直ワームホールのデータ収集と計算、謙信様の世話で手一杯だった俺は、信玄様の配慮に心から感謝した。
光秀さんが安土からの正式な使者としてきたのかどうかわからないが、今の心情としてはワームホールに集中したい。