第23章 1%を100%に
部屋を出ていった幸村の足音が遠ざかっていった。
再び訪れたシンとした空気。
ついさっきまで行き詰っていた気持ちが、今はやるべき事をみつけスッキリしている。
佐助「よし、まずは過去の発生率の割り出し方法を…」
お手製の鉛筆が和紙の上をサラサラと滑る。
(俺の予想が正しければ、あの時の確率は…上がっているはずだ)
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そうして三日三晩、ひたすら計算式の組み換え作業に没頭して割り出してみると…驚く数値が出た。
佐助「あの本能寺跡で開いたワームホールの発生確率は、99%!?」
(間違えた可能性は?いや、間違っていない。この計算式で間違いないはずだ)
今までの計算式を試行錯誤して、過去のワームホールを調べる計算式に組み替えた。
佐助「一桁台の確率が99%になっていたなんて…」
言葉を失くす。
それまでの発生確率の低さから考えても異常な数値だ。
そしてこの数値を割り出したのは1度きりじゃない。
舞さんが現代に戻る時にも99%という数値が出ている。
舞さんに『安土に開くワームホールの出現率は99%だ』と伝えた時に気づくべきだった。それまで15%以下が普通だった数値が異常に高いことに。
佐助「もしかしたら本能寺跡地での数値があがった原因は舞さんなのかもしれない」
(仮に本能寺跡に俺だけ居たら、ワームホールの発生確率は一桁台のまま開かなかった。
舞さんが現れたことによってワームホール発生率が99%までに上昇して開いたのなら…)
その事実に唾をゴクリと飲んだ。
(時を超える能力?ワームホールと共鳴しやすい体質?
詳しい理由はわからないけど、もしこれが事実なら…)
佐助「ワームホールを故意に開かせるのは可能かもしれない。でも舞さんの力が必要不可欠になる」
俺はしばらく考え、策を練った。