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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第23章 1%を100%に


謙信「何度も同じ夢を見る。
 夢の中の舞は褥で穏やかに眠っているが俺が立ち去ろうとすると途端に苦しみ始める。
 手を差し伸べようとすると見えない壁に遮られて近寄れないのだ。

 俺は……現実でも夢の中でも無力だ。
 あの細い体で一人、死の苦しみを味わっていたというのに、俺は何も知らず何もしてやれなかった!
 俺は自分が許せない。後悔の念が俺を苛み、攻め立てるっ」


謙信様は夜着の胸元をギュッと握りしめて、その表情は苦悶に歪み鬼気迫るものがあった。


佐助「謙信様…」

謙信「やはり俺と関わるとろくな目に合わないのだ。
 俺が舞に目をかけたばかりにっ、こんなことに!
 女になど目もくれず、ただひたすら戦をしていればよかったのだ」


(舞さんと出会う前の謙信様に戻ってしまった。いや、違うな)


生を感じるのは戦場だけだと言い、戦場に好んで出かけていた昔と違う。


(今は生を感じるものが…ないのか)


生きる理由がなくなった。
そんな空虚な思いが瘦せた体からにじみ出ている。


佐助「謙信様、それは違います。手紙にもあったでしょう?
 体調が崩れたのは舞さん自身の体質のようなものだと。
 気をしっかり持ってください。舞さんの願いでもあります。『生き抜いてください』と」


途端に謙信様が片手で顔を覆った。


謙信「わかっているっ!!舞の願いを無下にすることはできないと!だがっ!!」


謙信様は感情を昂らせ、言葉を切った。

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