第23章 1%を100%に
佐助「それは名案ですね。義元さんは無名、有名関わらずそちらの方面に人脈がありますから」
謙信「500年、1000年と残るモノを作れと言ったら、義元は張り切っていた。
そこでだ。舞にだけは俺が建てた寺だとわかるようにしたい。何か良い案はあるか」
佐助は顎に片手をやり、しばらく黙考した。
佐助「舞さんとの思い出を、石で表現してみてはいかがでしょうか」
謙信「石で?」
佐助「ええ。500年の間にこの日ノ本は天災に襲われます。外の国と戦争もします。
木や紙で何かを残しても燃えてなくなってしまう可能性があるんです。まぁ、石造りでも砕かれてしまう可能性はありますが…」
この地に激しい空襲があったかどうか、大きな天災があったか佐助は知らなかった。
それでも木や紙よりはずっと劣化に強い。天災や戦火を免れれば間違いなく残るはずだ。
理由を聞いて謙信は静かにうなずいた。
謙信「佐助、義元を呼んで来い。さっきまでここで話をしていたゆえ、その辺に居るだろう。
天災や戦が起きた時、この寺が民百姓の拠り所になるよう寺の設計を変える」
佐助「わかりました」
佐助の姿があっという間に消える。
謙信は散りゆく桜を眺めながら『思い出か…』と呟いた。