第23章 1%を100%に
謙信「佐助を安土にという条件は訳あってできないと断った。
用があるならあっちから出向くのが筋だ」
佐助「舞さんと同郷である俺から色々聞きたいんでしょうね。
でも断って良かったんですか?お寺の建設に支障をきたすのであれば行ってきますけど」
謙信「ならん。お前は城から出るな。
いつワームホールが出現するのかわからん状況で、お前を城から出すわけにはいかん」
ジロリと睨(ね)めつけられる。
淀んだ瞳が逃さないとでもいうように暗さを増した。
佐助「…わかりました。他の条件は謙信様が建てたと知ったら安土の人達が近づかないからでしょうか」
話題をかえると謙信の顔がいつもの物憂げな表情に戻った。
謙信「ああ、そうだろうな。あそこに湧いている水は貴重なものだ。
寺が廃れても周辺の民だけでなく、旅人、俺やお前のように偵察に訪れた者など、よそ者にまで重宝されている。
そこに俺が寺を建てたとなると、無駄な諍いがおこるとも限らない。
戦好きと言われる俺だが、この場所だけは大小関わらず揉め事は望まぬ。
建立者の手掛かりを残さぬよう、寺の建立にあたっては懇意にしている者には頼まず、俺の希望を伝え義元に依頼した」