第22章 真夜中のチャイム
「お体の調子が良い時に、皆と一緒に車でお出かけしましょうね」
信玄様はふっと目元を和らげると、
「相変わらず優しいんだな君は。それに少し見ないうちに…」
そこで言葉を切ったので首を傾げた。
「どうかしましたか…?」
じっと見られていると運転席と助手席という距離が急に近く感じられた。
謙信様とは違う、信玄様の香が鼻をかすめる。
信玄「いや、なんでもない。それより二人を運ぼう。
一人ずつなら抱いて運べるから部屋に案内してくれるか?」
「はい」
それから謙信様と佐助君を家へ運び入れて、そのあと濡れた着物を信玄様が着替えさせてくれた。
謙信様は私が縫った夜着があったのですんなり済んだけれど、信玄様と佐助君の服は現代のものだ。
まず信玄様に着方を教えて、なんとか佐助君も着替えを済ませることができた。