第22章 真夜中のチャイム
(謙信様……っ)
逸る気持ちに連動して、心臓が痛いくらいドキドキしている。
沢田「すぐそこの畑だ」
そう言われて暗い道を二人で走り出した。
沢田さんが手に持っていた懐中電灯が揺れる。
そんなに走っていないのにハアハアと息が苦しくなった。
(涙が…)
気がつけば泣きながら走っていた。
そのせいでこんなに苦しいんだと涙を拭う。
沢田「ここだよ、舞ちゃん」
そう案内された畑の土だけ雨が降った直後のように濡れていた。
(他の畑は全然濡れていない…)
湿った土の匂いにワームホールが開いたのだと確信し、月明りにボンヤリ浮かぶ人影にゆっくり歩み寄った。
??「ああ、久しいな。相変わらず美しい姫だ」
月の光に照らされて座っていたのは……信玄様だった。