第22章 真夜中のチャイム
美しい夜空に祈った次の日のことだった。
……―ポーン……
寝室で寝ていた私は、遠くで玄関のチャイムが鳴ったような気がして目を開いた。
スマホを見ると日付は変わっていて夜中の1時だった。
(気のせい?)
気持ち良い眠気に瞼をおろしたところで、またピンポーンと聞こえた。
「!」
(間違いない。うちの玄関のチャイムだ)
二人を起こさないようにそっと寝室を出た。
階段を一段降りる度に不審感が強くなる。
(こんな時間に誰だろう…?)
一旦玄関を通り過ぎてリビングに向かう。
インターホンの画面で来訪者を確認すると2軒隣に住んでいる沢田さんだった。
この辺一帯に畑を持っている人で、お酒が大好きな人の好いおじさんだ。
しかしこんな夜更けに訪ねてくるなんて何かあったのだろうか。
顔見知りとはいえ時間が時間なので警戒心を抱いた。
「はい」
モニターの『通話』ボタンを押して応答する。
沢田さんが片手を頭の後ろにやりながらモニターに顔を寄せるのが見えた。
沢田「起こしてわりいね。ちょっと急だったもんで!
舞ちゃん、佐助っていう奴知ってるか!?」
「佐助君っ!?」
一気に目が覚めて叫んだ。
モニターの通話を切って玄関のドアを開けに行った。
警戒してる場合じゃない。
500年前に居るはずの佐助君の名を、沢田さんが口にしたんだから。
玄関口にラフな服装で沢田さんが立っていて、声を抑え気味にして言った。
沢田「知ってるみてぇだな。飲んで帰ってきたついでに畑をちょっと覗いてみたら男が3人倒れてたんだよ」
「3人…」
佐助君…謙信様…信玄様だろうか。
突然の展開に心臓が早鐘を鳴らしている。
沢田「2人はまだ寝てるが1人は俺が呼びかけたら目ぇ覚ましたんだ。
そんでその男が『このあたりに舞という女性が住んでいたら呼んできて欲しい。佐助と言えばわかる』って、言ってんだ。
どうする、行ってみるか?怖ければ警察呼ぶぞ?」
「行きます!警察はまだ呼ばないで下さい」
少し待ってもらえるように伝え、大急ぎでパジャマから服に着替えて外に出た。
寝起きですっぴんだし髪もボサボサだけど、この際どうでも良い。