第20章 上田城の石碑
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七夕からしばらく過ぎたある日。
朝のニュースを聞きながら朝食を用意していると『上田城』という単語が聞こえてきた。
(上田城って聞いた事がある。誰のお城だったかな)
テレビの画面を見ると石碑が写っており『歴史的発見か?』というテロップが流れている。
キャスター「先月オークションにかけられていたこの石碑は、明治の発掘調査の際、盗まれて行方不明になっていたものではないかと現在調べが進められています」
「へぇ、明治時代に盗まれた物が出てきたってこと?凄いなぁ」
視線を手元に戻してきゅうりを輪切りにしていく。
キャスター「この石碑には『生涯の友の依頼により、これを作成する。天女へ届くことを願う』と書かれてあり、上田城の主・真田幸村が誰かに依頼されて作ったものだとわかっています。
しかし『生涯の友』とは誰か、『天女』とは誰かなどわかっていません。
また石碑に書かれているお伽話が何を意味しているのかは、これから専門家チームが組まれて調べられるということです」
包丁を落としそうになった。
(幸村の生涯の友って…佐助君!?)
『俺と幸村はズッ友だ』
真顔で、でも少し嬉しそうにしていた佐助君の顔が思い浮かんだ。
慌ててテレビを見たけれど、もうニュースキャスターは次のニュースを読み上げていた。
急いで手を洗ってスマホを手に取る。
『真田幸村』『石碑発見』で検索をかけると、詳しい内容がいくつか出てきた。