第19章 謙信様の手紙
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ご住職「いやはや、なんと申し上げたら良いのか。
しかし随分と大変な思いをされたのですね…」
「私の話を信じてくれるのですか?」
私が知る歴史では1582年の本能寺の変で信長様は死んでしまうという歴史だったけど、ご住職に話すと首を横に振り、死なずに生き延びたことになっていた。
ご住職は『1582年に織田信長が死んでしまった』という歴史の方にとても驚いていた。
頭がおかしいと思われるのではと不安だったけれど、ご住職は意外にもあっさりと信じてくれた。
「お名前を伺った時、たしか舞様といいましたよね?
織田信長に関する書の中に舞姫という名が記録に残されています。
身元がまったく不明で、安土の城に突然現れ1年満たないうちに去ったという謎の人物です。
天女のように見目麗しく心根の優しい方だったとされ、当時織田信長に仕えていた武将達をはじめ多くの者達に愛された方だと。
病没したとも、他国に嫁いだとも言われていますが…。
今の話を聞くと…あなたが舞姫なのでしょう?」
開いた口が塞がらなかった。
(まさか私が歴史の1ページに刻まれているなんて!
しかも『天女』って盛りすぎじゃない?)
「は、はい、その通りです」
恥ずかしくなって、膝に抱いていたたつきの頭を過剰に撫でてしまう。
たつき「あー!」
嫌がるようにたつきが膝を降りていく。