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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第19章 謙信様の手紙


「す、すみません。お恥ずかしいのですが崩し字は読めなくて…」


三成君に少しだけ字を教わっていたけれど、短い期間だったので身に着けることはできなかった。


住職「いえ、構いません。言い回しが古いので少しかみ砕いてお読みしますね」


住職の指が文字列をなぞって動く。
内容はこうだった。



『もしこの寺に、鉄紺と漆黒色の組紐に括られた木製の鈴を持つ者が現れた時、寺の者は丁重にもてなすように。

 その者は一国の姫である。

 尊い存在であるにもかかわらず交わした約束を守るため、かの地に去ってしまった女である。
 くれぐれも無礼をはたらく事のないよう。そしてこの記録と共に保管されている箱を渡すように』



『一国の姫』『約束』『去ってしまった』

胸を騒がすキーワードが次々とあらわれる。


(箱って…)


先程目にした小さな包みを見る。

厳重に封をされていたのだろうけど時の経過とともに劣化し、触るだけでハラハラと解けそうだった。


住職「失礼ですが最後に確認させてください。
 その鈴は拾った、他人からもらった。譲り受けたというわけではありませんね?」


(謙信様からもらったって、そのまま伝えた方が良いよね)


「正直に言いますと、これは大切な方から贈り物として頂きました」


この鈴をくれた時の謙信様の姿が蘇る。


「『急なことで今はお前に似合う贈り物を持ち合わせていない。これは幼少の頃に世話になった住職から貰ったものだ。お前に贈ろう』と、そう言われて受け取りました」


住職「ああ、あなたはとても正直な方ですね。
 試すようなことをして申し訳ありません。ここに…」


住職の指が本の続きをなぞる。


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