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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第17章 姫の手紙




『謙信様の………が、いつも綺麗だなって思っていました』


愛おしげに謙信を見つめてくる…真っすぐな薄茶の瞳。


謙信「青と緑だ。あいつが…好きだと言っていた。
 きっとその色に何かしら意味があるはずだ」


謙信は片手で両目を押さえた。

佐助は短く返事をして文に目を落とす。


佐助「ビンゴです。青と緑の線はいずれも『TE』『N』『TA』の文字にだけ使われています。
 これはきっと『青と緑は残す』という意味でしょう」

幸村「つまり『TE』『N』『TA』であっても青と緑の線が引いてあれば抜かずに残すってことか?」

佐助「ああ、そういうことだ。
 暗号にするため『TE』『N』『TA』を抜くように指示を出したけれど、この3文字を使いたい…だからこの下線が必要になったんだ。
 この青と緑は『抜かずに残すTE、N、TA』という意味だ」

幸村「じゃあ、他の……たとえばこの『A』とか『KO』文字の下線はなんの意味があったんだ?」


幸村が指差す文字には紫と茶色の下線が引かれている。


佐助「それはカモフラージュだ。意味はない。
 普通にローマ字として読めばいいみたいだ」

幸村「鴨……なんだって?」

佐助「カモフラージュ、だ。
 たとえば『残して欲しい『TE』『N』『TA』』の下にだけ下線をひいたらどうなると思う?
 この文が他人の目にさらされた場合、ローマ字を読めなかったとしても字の形として、この3文字に何かあると思われてしまう。
 ローマ字を読めたなら『てんぬき』や『たぬき』がわからなかったとしても暗号を解かれてしまうかもしれない。

 そう考えた舞さんは緑と青の線を隠すために、全部の文字に下線を引いたんだ。
 木の葉を隠すなら森の中ってやつだ」

幸村「めんどくせぇ…」


幸村は顔をしかめ信玄はしきりに感心して頷いている。


信玄「そうかー?こんな暗号初めてだ。俺は楽しいぞ」


正反対の主従の反応に佐助は口元を緩め、解読を待っている謙信のために文に集中した。


・てんぬき、たぬきというキーワードで『TE』『N』『TA』を抜く
(ただし青と緑の下線が引いてあるものは残す)

・その他の文字はローマ字として普通に読む


種がわかってしまえば簡単なことで、五分もしないうちに舞の文の内容が明らかになった。


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