第16章 武将くまたん
秀吉「まさろうは直情径行(ちょくじょうけいこう)で、そんなところが姫たんはとても驚いたし羨ましい。
大胆かと思うと細やか気遣いもできて、戦場ではとっても強いけど、傷ついてもそれを隠そうとするから姫たんはやめて欲しいと思っている。
まさろうが持っているのは南蛮の鍋で、ふらいぱん。
料理の名前は、下から『牛たんすてーき』『おむらいす』『はんばーぐ』『なぽりたんすぱげってぃ』『笹かまの炙り焼き』『ずんだ餅』
まさろうはこれからもたくさん、色々な料理を作って皆を元気にしてくれる。
いっぱい美味しいモノを作ってくれて、ありがとう」
政宗「…んだよ、知らない料理を並べ立てて説明もないのかよ。
俺はお前がそんな料理を知ってるなんて知らなかったぞ」
政宗は信長の方を向いている後ろ姿の『まさろう』を眺める。
他の三人の人形はクマのしっぽだが、まさろうだけ黄色と黒のシマシマ模様で長い。
『政宗、この煮物、味が染みてて美味しいね』
『こんなにたくさん、どうやって作ったの?今度はお手伝いさせてね?』
『政宗、少し気が滅入ってたの。連れ出してくれてありがとう』
『こんなひどい怪我してるのに何で隠してたの!?』
『わああ!?政宗!大変っ!政宗の部屋にトラが居るよ!』
美味しいものを食べてフニャフニャと笑った顔が鮮やかに脳裏に浮かびあがる。
もっと知りたかったと思っても…もう舞は居ない。
ふらいぱんに乗っている聞いた事もない料理を詳しく教えて欲しいと思うのに、聞けない。
(羽織をもって訪ねてきた時、無理やりかっさらってしまえば良かった)
政宗は、らしくもない後悔をした。
信長「あいつは南蛮の国のものを多く知っているようだな。
南蛮の使者との謁見の際、この料理についてたずねてみるのも一興だな。『タイプ』『ハート』もだ」
信長がそう言ったのを聞いて政宗も興味を示す。
政宗「それは面白そうですね。ぜひ同席したいものです」
(ただ『ささかま』と『ずんだ餅』は南蛮のものじゃなさそうだが、聞いた事もない…)
どこかの郷土料理なのだろうかと政宗は首を傾げた。