第16章 武将くまたん
秀吉は頷き次の包みを手に取った。それは瑠璃色をしていた。
政宗「それは俺のか?」
政宗が楽しそうに目を光らせた。
三成「のぶたん、ひでたん、わるたん。次は何でしょうか」
家康「光秀さんだけ別格なんじゃないの。政宗さんのは『まさたん』じゃないの?」
秀吉が結び目を解くと、政宗そっくりの着物を着たくまたんが出てきた。
厨で料理をしている時のようにたすきをしていて、手には取手がついた奇妙な形の黒い鍋を持っている。
鍋には見たことのない料理が段々に重なって山になっている。
二本の刀や眼帯の造りはしっかりしていて、舞の仕事の良さが見られた。
秀吉はそれを政宗に一度見せてから、信長へと差し出す。
秀吉「これは『まさろう』だ」
政宗「誰だそれ。どこから『ろう』がでてきたんだ」
間髪入れず政宗のつっこみが入る。
秀吉が文を見ながら答える。
秀吉「文を読むから待ってろ。
政宗は「たん」って感じじゃないから『まさろう』にしました…だと」
家康「なにそれ。ぷ」
三成「舞の名付け方は興味深いものがありますね」
久しぶりに三成が笑みを浮かべたので秀吉が安堵の息をついた。
もはや広間の雰囲気は呆れるやら楽しいやらで微妙な雰囲気になりつつあり、先ほどまで漂っていた陰鬱感は霧散していた。
光秀「それで?続きがあるのだろう、早く聞かせろ」
政宗「光秀、てめぇ、何笑ってんだ。
俺はまだ名前から一文字とって『まさろう』だろ?お前なんか名前から一文字もとられず『わるたん』じゃねぇか!」
政宗は不満げに文句をつけて、秀吉に先を促した。