第16章 武将くまたん
秀吉「では次に参ります」
秀吉は籠の中から山吹色の包みを出した。
家康「次は俺ですね。俺のは『いえたん』『いえすけ』『いえもん』…。どれですか?」
家康が思いつく限りの名前を並べて聞いた。
秀吉は待て、と言って包みを開いた。
中から現れたのは家康と同じ着物を着たクマたん。
翡翠色の糸で象られた目がとても綺麗な出来だった。
片手には乳鉢。もう片方には本を持っている。
弓矢を背負っていて、胸元から印籠が見えている。
家康「…なんですか、この雑多な感じ。家紋付きの印籠なんて持ち歩いてないし」
秀吉は家康に見せた後、信長に差し出して文に目をやる。
秀吉「これは『じゃっく』だ」
家康「……」
三成「家康様の予想を超えて名付けられるとは…。
舞様は凄いですね」
感心したように言う三成に家康が「うるさい」と不機嫌に言い返した。
光秀「ふっ、同士だな家康。お前も余程舞をいじめたとみえる。
天邪鬼の『じゃっく』…だろう?秀吉」
光秀が目を細めて口の端を持ち上げた。
家康「面白くもなんともないですよ。なんなんですか、この変な名付け方は」