第16章 武将くまたん
秀吉「わるたんは、何を考えているか誰にもわからない。いつの間にか居なくなって、ひょっこり現れる。
でも揺らがない信念を持っていて、それはきっと強くて暖かい。
意地悪だけどそっと気遣ってくれるわるたんが、姫たんは大好き。
ひでたんとは違うタイプのお兄さん。
本当に困ったり、落ち込んだりした時にさりげなく手を差し伸べてくれて、ありがとう」
三成「大好き…」
家康「たい…ぷ、ってなんのこと?そういえばあの子、時々妙な言葉を使ってたな」
政宗「前後の流れで、ひでたんとは違う質(たち)っていう意味じゃないか?」
光秀「信長様が父で、秀吉と俺が兄か。あいつは随分と愉快な家族を持っているな」
秀吉「おい、信長様にむかって『愉快』とは無礼だろう!」
秀吉が眦を上げた時、信長の鉄扇がパシンと閉じられた。
信長「そのような些細なことは良い。して、わるたんの懐からはみ出ているものはなんだ?」
一同、わるたんを見るも、その後ろ姿しか見られない。
秀吉「光秀が飼っている狐のチマキでしょうが、口に咥えているものに関しては特に文に記載はありません」
光秀「信長様。拝見しても?」
信長「かまわぬ」
光秀は一礼して立ち上がると、わるたんを手に取った。
光秀「これは…『はーと』ではないかと。
以前舞と話した時に『心』『愛情』のことを南蛮の言葉で『ハート』というと…両手でこのように表していました」
光秀は舞がしたのを思い出し、両手でハートマークを作って見せた。
その形と、チマキが咥えている赤いモノの形が重なった。