第16章 武将くまたん
信長が次を促したので、秀吉は白磁の色をした包みを取り出す。
秀吉は結び目を解き、光秀に一度見せた。
光秀そっくりの着物を着たくまの人形は、腰に種子島を下げ意地悪く笑っている。
瞳の色は琥珀色で、長い下まつ毛が光秀そっくりだ。
煮物や焼き魚、漬物がのった丼を手に持っており、丼のてっぺんに『天下統一飯』ののぼりが立っている。
懐から何かが覗いていて、光秀はよく見ようとしたが、秀吉の手によって信長の方へ向けられてしまった。
政宗「のぶたん、ひでたんときたから、『みつたん』か?」
光秀「ふっ、あの単純な小娘ならきっとそう名付けているだろうな」
ところがその予想は大きく外れた。
秀吉「意地悪大好き『わるたん』だ。
光秀、舞に意地悪しすぎたんじゃないのか」
秀吉が少し愉快そうに眉を上げている。
光秀「……」
政宗と家康が同時に噴き出したのが聞こえた。
信長も興を覚えているのか、口の端を上げて鉄扇でゆるりとあおいでいる。