第15章 雪原に立つ
(姫目線)
雷の音が近くなった。
「お願い、私はここ。ここに来て」
空を見上げて呟いた。
離れた場所に発生してもこの体では走るのは不可能だ。
私は片手を空にかざして願った。
「あっ」
突然頭上で黒い雲がグルグルと渦を巻き、それを視認した時には雷が近くに落ちていた。
轟音がビリビリと空気を震わせる。
??「舞!!」
誰のものかわからない声が聞こえ、こちらに駆け寄ろうとしている秀吉さんの姿が見えた。
「来ちゃ駄目です!」
お腹に力を入れて叫ぶと声が届いたのか足は止まった。
周りの風景に歪みが生じた。
(きた!)
皆から貰った贈り物が入ったバッグを抱きしめた。
信長様達が驚愕の表情でこちらを見ている。
(最後だ、本当に)
最後は笑っていたい。
下がりそうになる口角を無理やりあげた。
「ありがとう」
そうつぶやいた瞬間、ぐにゃりと大きく視界が歪んで何も見えなくなった。