第15章 雪原に立つ
「ふふっ、秀吉さんの照れた顔、可愛い」
秀吉「あー、わかった。わかったから少し黙ってろ」
頬を赤くして秀吉さんが照れている。
(あ!秀吉さんは『可愛い』って言われると恥ずかしいんだ。捉え方もそれぞれなんだなぁ)
「ごめんね、もう言わない」
そうこうしているうちに安土城が木々で遮られて見えなくなった。
(見えなくなっちゃった)
これで二度と見られなくなったなんて未だに信じられない。
感慨に耽っていると秀吉さんの手が背を撫でた。
秀吉「なあ、舞。さっきから気になってるんだが、お前の背中を横に走ってる紐みたいなのはなんだ?」
秀吉さんは包んだ布の上からブラのラインをなぞる。
そのはずみなのか、ブラのホックが外れた。
安土城に想いを馳せていた私は突然のことに我に返った。
「やっ、やだ!秀吉さんのエッチ!」
どこにこんな力が残っていたのか知らないけれど体を即座に起こし背中を押さえる。
秀吉「な、なんだ?急に動くと危ないぞっ!?」
『エッチってなんだ?』と言いながら秀吉さんが手綱を捌く。
締め付けがなくなった胸を押さえて抗議した。
「秀吉さんが触っていたのは胸を包む下着の紐なの!しかも留め金が外れちゃったじゃない!襦袢の紐をほどいたのと一緒だよ!」
秀吉「な、なんだって!?」
お互い真っ赤な顔で慌てる。
信長「お前達、さっきから何を騒いでおる?」
後ろにいた信長様が馬を並べてきた。
「信長様!~~~秀吉さんが…」
まさか下着を緩められたとは言えず、そこまで言って口ごもる。
秀吉「ば、馬鹿っ!わざとじゃない!知らなかったんだ!
信長様、申し訳ありません。不慮の事故で少々舞の着物が乱れてしまっただけです」
信長「俺の持ち物にそのような顔をさせるとは良い度胸だな」
(どんな顔!?)
つっこみたくなったけれど矛先がこちらに向かいそうだったので黙った。