第15章 雪原に立つ
女中「姫様。こちらの履物ですがどのようにすれば…」
遠慮がちに話しかけられてそちらを見ると女中さんの手にパンプスがあった。
三成君が腰を下ろしてくれて、女中さんと二人がかりでパンプスを履かせてくれた。
三成「この『すとらっぷ』の金具は見たことがありません。
それにかかとがこのように底上げされていては歩きにくいのでは…」
探求心に駆られた三成君が角度を変えて足を見てくる。
恥ずかしくて足をひっこめようとした時、光秀さんから声がかかった。
洋服の上に厚い羽織を着せられ、再びその腕に抱き上げられて外へ出た。
寒風吹き荒れるという表現がピッタリな天気だった。
(寒いっ)
羽織の隙間から容赦なく冷気が入り込んできた。
夏用の衣服では冷たい風を防ぐことはできず、ストッキングしか履いていない足が急激に冷たくなった。
光秀「秀吉のところまで辛抱しろ」
「はい」
城門前に3頭の馬が用意されていて、そのうち2頭には既に信長様と秀吉さんが騎乗している。
私たちが近づくと門衛が踏み台のようなものを馬の傍に置き、光秀さんはそれに足を乗せた。
光秀「落とすなよ」
秀吉「誰が落とすかよ!良いからさっさと舞をよこせ」
そんな会話の後、私の体は秀吉さんの腕へと移された。
秀吉「その格好じゃ馬に跨るのは無理だろう。
横向きに座って俺に寄りかかれ。
よし、それで良い。寒いだろう?これを持ってろ」
温石を持たされたかと思うと、あれよあれよという間に厚手の布で包まれた。