第15章 雪原に立つ
「私が困っている時や悲しい時はいつも光秀さんが気づいてくれて、寄り添ってくれました。
それって私が顔に出やすいとか、光秀さんが人の心を読むのがうまいとか、色々な要素があると思うんですが、1番の理由は光秀さん自身がとっても優しいからだと思うんです」
「光秀さんは私以上に苦しんだり、秘めたモノを持っていて、だから私の負の感情に気が付いてくれるのかなって勝手に思っていました。
痛みを知っているからこそ、人の痛みがわかるのかもしれないって…」
光秀「……それ以上言うと、他の男のものだと知っていても口づけて塞ぐぞ」
その言葉とは裏腹に口調はどこか素っ気ない。
「もしかして…照れてます?」
照れている時に素っ気なくなるのを私は知っている。
光秀さんは困り顔で一息ついた。
光秀「お前を国元へ返してやらねばならないというのに、あまり可愛らしいことばかり言うと連れ去るぞ」
「そ、それは困ります!」
場の空気が和んだ時を見計らってか、光秀さんは懐から布に包んだ何かを取り出した。
包まれた布ごと手渡され『土産だ』と言われた。