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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第15章 雪原に立つ


信長「舞よ。貴様は俺の験担ぎの女として傍においたが、途中でそれを放棄して帰るとはいかがなものか」

秀吉「信長様っ!」


あれほど『信長様の言う事は絶対だ』と口酸っぱく言っていた秀吉さんが、信長様に抗議の声をあげた。


信長「秀吉、静かにしていろ」


一言で秀吉さんを黙らせて信長様は私へと目を向けた。


信長「いいか、よく聞け。どこに居ようと、その命尽きる瞬間までお前は俺のものだ。
 安土の姫として俺に幸運を呼び込め」


戦場でよく見る不敵な笑みが浮かび、赤い目は力強く煌めいた。


(今…『どこに居ようと』って言ってくださった…?)


説得には時間がかかると思っていたのに、信じられない思いで見返す。


信長様は織田の家紋がついた懐剣を手に持ち、私へと差し出した。


信長「手に取れ」


泣いちゃいけないと思うのに大粒の涙がポロポロと落ちた。


三成「舞様……」


私の手を握ってくれていた三成君が手を離してくれた。


「~~~っ」


力の入らない手で懐剣へと手を伸ばした。

その動きだけでもいっぱいいっぱいで手が震えた。

光秀さんや秀吉さん、三成君は黙って見守っている。


「っあ!」


懐剣に届いたその手を、上から大きな手が覆った。
大きくゴツゴツして力強い…信長様の手だ。


信長「俺が与えた仕事を全うしてみせよ。簡単に死ぬなど許さぬからな?
 命尽きるまで、お前は安土の姫だ」

「は、はい。ありがとう、ございま、すっ」


胸がいっぱいでそれ以上何も言えなかった。
懐剣を胸に抱きしめると、皆が優しく笑ってくれた。


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