第15章 雪原に立つ
秀吉「舞!」
三成「舞様っ!?」
喉からの出血を秀吉さんと三成君は吐血したと勘違いしたのだろう。
二人は慌てて医師を呼びに行こうとしている。
信長「猿!三成も落ち着いて座っていろ」
秀吉「ですが吐血したのですよ!?これが落ち着いていられますか!」
三成君も秀吉さんの隣でうんうんと頷いている。
信長「こいつが血を吐いているという報告は女中から上がってきていた。
今に始まったことではない」
秀吉「ッ!舞、なんで言わなかった!」
垂れ目をこれ以上にないくらい吊り上げて秀吉さんが怒った。
「秀吉さん、ごめんね。でも隠していたわけじゃないよ。それにこれ以上心配かけたくなかったの」
力なく目を開け、秀吉さんに謝った。
三成「何故そのように遠慮されるのですか?
そんなに私達が頼りないですか?」
悲しそうな声色で三成君が呟いた。
即座に首を振った。これだけは全力で否定したい。
「違うよ。皆、日本を代表する立派な武将様じゃない。そんな人たちが頼りないわけがないでしょ?」
はぁ、と息をつく。
力がはいらなくなり、口を開くのも言葉を考えるのも億劫だ。
秀吉「舞…、そう言ってくれてありがとな」
目を閉じたままでも頭を撫でてくれたのが秀吉さんだとわかった。
光秀「舞、息をしろ。呼吸が浅くなっている」
「は、い…」
言われて息をしてみるものの、上手く呼吸ができない。
「苦しっ…、はっ」
いくら吸っても酸素が入ってこない。
苦しみ悶えたせいで羽織が落ちた。
秀吉さんと三成君が何か言っていたけれど聞き取れない。