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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第14章 未来を変える種


信長「俺ならばその時点で一番才のある男に子を頼むであろうな」

秀吉「それでは俺と同じでは……?」

信長「違うな。貴様は親族や家臣と申したであろう。俺は才ある男に頼み、こう言う。
 『貴様の目から見て、子に才があったなら後継ぎとして育て、平凡な才であったなら、貴様自身が俺の跡を継ぐとよい』とな」


秀吉さんは呆気にとられた顔をして、声も出せないようだった。


信長「家臣にとっても子にとっても益になる話であろう?」


ニヤリと笑う信長様は自信ありげだ。


秀吉「で、ですがそれでは天下人として織田家が君臨できなくなるのでは…」


鉄扇が開かれ、すぐにパチンと音をたてて閉じられた。


信長「そんなものに興味はない」

秀吉「は!?」

信長「天下人はその時その時、力あるものが務めれば良い。
 日ノ本をまとめるのは並大抵の人間にできるものではない。
 俺と血が繋がっているから、織田の人間だからという理由でなるものではない」


(……!信長様…)


これ以上ないほど感動に震えた。


信長「下剋上の世だ。器をもたない者が上にたてば、有能な人間あるいは不満をもった輩が必ず追い落とす。
 だから子を必ず後継ぎになどと言わず、いかようにもできるよう、選択を残しておくのが死に行く者ができることではないか。
 家を守り、妻や子を守りたいのであればな。ただし前もって周知させておかねば、いざという時に反感を買う恐れはあるが」

秀吉「の、信長様がそのようにお考えだとは露とも知らず」


想像をはるかに上回っていたのだろう、秀吉さんはしどろもどろに言葉を濁らせた。

信長様はふんと鼻で笑うと、ずっと黙ったまま見守っていた私へと視線をうつした。


信長「このような『仮定の話』など考えたこともなかったからな。
 俺の考えは、今の今出たばかりだ。お前達しか知らん。
 なかなかに面白かったぞ、舞」

「こちらこそ、ありがとう……ございます。とても勉強になりました」


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