第14章 未来を変える種
秀吉「ええ、俺も……」
秀吉さんは未だショックから立ち直れないのか瞬きもせず信長様を見つめている。
(私が秀吉さんに気付いて欲しかったことを信長様が言ってくださった。これでもしかしたら秀吉さんの未来が変わるかもしれない)
未来からきた私が秀吉さんにアドバイスのようなことを言うのは憚れた。
もし秀吉さんが信長様の言葉を受け止めて考えを変えてくれたなら、豊臣家と徳川家との争いは避けられるかもしれない。
天下の豊臣家、という看板は降りてしまうけれど姓は残り、奥さんも子供も生きられるかもしれない。
歴史が変わるのは怖い。
ジッと秀吉さんの横顔を見て、目を閉じた。
信長様の命を助ける
謙信様の子供を妊娠する
秀吉さんの願いを叶えるため、考え方を変えさせる
歴史が変わり、その後の流れも変わる。
畏怖の念を抱きながらも、秀吉さんの願いが叶いますようにと願わずにいられなかった。