第14章 未来を変える種
秀吉「ばーか。俺がお前を嫌うわけないだろ?
ほら、泣かなくていいから」
子供を慰めるように頭をよしよしと撫でられた。
秀吉「お前が何を隠していようと嫌いにならない。
内容によっては叱るかもしれないが、大事な妹を嫌うなんて絶対しない」
「あ、ありがとう秀吉さんっ。ありがとう…っ」
ダムが決壊したように涙が溢れた。
謙信様と安土の皆との間に身を置き、妊娠をひた隠し、常に罪悪感を抱いていた。
秀吉さんの言葉に救われる思いだった。
秀吉「わっ、馬鹿。泣かなくていいって言っただろう?」
「ふ、ふふっ、嬉し涙だよ。ありがとう、秀吉さん」
ぐすっと鼻を鳴らしながらお礼を言うと秀吉さんは困ったように笑った。
秀吉「俺はついさっきまで舞に嫌われたと勘違いしてたんだがな。
俺達、何やってるんだろうな。喧嘩していたわけじゃないけど仲直りだ。
前みたく世話やかせてくれよ?」
ワームホールが開くまでもう日が迫っている。
胸が締め付けられたけど秀吉さんの言葉が嬉しかった。
(嬉しい…)
感謝の気持ちが胸いっぱいに広がった。
(秀吉さん、幸せになって欲しいな)
教科書で習った歴史では秀吉さんも豊臣家の最後も儚いものだった。
秀吉「どうした急に考え込んで。皺が寄ってるぞ」
『ここ』と指で眉間をトンとつつかれた。