第14章 未来を変える種
秀吉「入るぞ」
「どうぞ」
誰が訪ねてきても寝たままでいいと言われているので、布団に入ったままで返事をする。
一度目を閉じ、心を落ち着ける。
油断するとすぐに吐き気がやってくるので時々こうして休みをいれなければいけない。
三成「秀吉様、それはいかがされたのですか?」
(ん?どうしたんだろう)
興味を惹かれ秀吉さんを待つ。
秀吉「三成のとこの猫がみつからないって言ってただろう?
代わりにこいつはどうかと思って連れてきてみたんだ」
(ウリを連れてきてくれたのかな)
秀吉さんが飼っている子ザルかなと思っていると、視界に入った秀吉さんの腕に白い毛の生き物が抱かれていた。
「秀吉さん、それって…」
もしかしてと首を伸ばして見ようとすると、秀吉さんが座ってその生き物を見せてくれた。
「わ、わぁ……嬉しい。秀吉さん、ありがとう」
秀吉さんが連れてきてくれたのは白い兎だった。
赤い目で辺りを伺い、鼻をひくひくさせている。
(抱っこしたい…)
お手洗いの時以外は極力身体を起こさないようにしていたけれど、うさぎに触れたくてたまらなかった。
『お前はうさぎに似ているな』
そう言ってくれた謙信様の涼しげな声が蘇る。
たったそれだけなのに胸が甘く疼いた。
「三成君、申し訳ないんだけど身体をおこすのを手伝ってくれる?」
三成「はい、もちろんです」