第14章 未来を変える種
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三成君の読みがあたり、猫さんと触れ合っている間、私は幾分気分が良かった。
もちろんその日の体調によっては駄目な時もあったけれど、フワフワの毛並みに触れていると四六時中襲いくる吐き気が弱まるような気がした。
三成「舞様、申し訳ありません。猫さんが散歩に出てしまい、帰ってきません」
ある日三成君が申し訳なさそうに謝りに来た。
「謝ることないよ。猫さんも時々休ませてあげなきゃ。
気まぐれは猫の特権だし」
三成「そういうものですか?」
「そうだよ」
猫さんに触れている時だけじゃなく、三成君と話をしているととても気が紛れる。
知識が豊富な三成君は、どんな会話もソツなくついてくるし、相手をよく見ているので返しも上手だ。
なんで家康との会話だけ嚙み合わないのか不思議なくらいだ。
でも感が鋭いから油断はできない。
三成「舞様の母君はあなたを産んですぐに亡くなったと、この間お聞きしました。
母君と体質が似たようだとおっしゃっておりましたが、今と同じ症状が酷くなってお亡くなりになったわけではありませんよね?」
なんて指摘された時にはドキリとさせられた。
核心を点(つ)かれて返事ができないうちに肯定ととられ、それまで以上に三成君は私を心配し、世話をしてくれた。
いつも天使の笑みを浮かべ、猫さんに引っかかれようとニコニコしている。
穢れを知らないような綺麗な笑みに心が浄化されるようだった。
二人で他愛ない話をしていると、秀吉さんが訪ねてきた。