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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第14章 未来を変える種


秀吉「しっかりしろ、舞」


(あれ、寝てたんだっけ?)


頬を軽く叩かれ、意識が浮上した。
目を開けるとドアップの秀吉さんがいて驚いた。


「……っ!」


目をパチパチさせると秀吉さんがあからさまに『安心した』というような顔をして離れた。


秀吉「お前、吐くのが止まんなくて、そのまま意識をなくしたっていうから飛んできたんだぞ」

「……え?」


バタバタと廊下を走ってくる音が聞こえて、勢いよく襖が開いた。


三成「舞様!!あ、秀吉様も知らせを受けたのですね。
 大丈夫ですか?」


眼鏡をかけたままの三成君が慌てた様子で私の顔色を覗ってくる。


(大丈夫だよ、二人共)


そう言いたいのにだるくて伝えられなかった。
嘔吐が止まらなかったというくらいだから体力を使ってしまったんだろう。

口元に意識を集中させて、なんとか口角をあげてみせた。


秀吉「舞、無理に笑わなくていい。
 苦しかっただろう?」


顔をクシャリとさせ秀吉さんが髪を撫でてくれた。


三成「こんなにやつれてしまわれて…。代わってあげられたらどんなに良いでしょう」


三成君が私の手を取って真剣な眼差しで言ってくれた。
菫色の瞳が深みを増してゆらゆらと揺れている。

目を閉じて横に顔を振った。


(私が責任もって苦しまなきゃいけないの。
 優しいこと言わないで、泣きそう…)


「み…つなり…君は、お仕事しなきゃ…秀吉さんが……こまっ…ちゃうでしょ?」


途切れ途切れに伝えていると、左目から一筋涙がこぼれた。


三成「舞様がそうおっしゃるなら、この身を粉にして働きますからっ!
 どうか泣かないでください」


三成君が握っていた手を離して、不器用な手つきで涙を拭ってくれた。


秀吉「お前が粉になると困る。ほどほどにしてくれ。
 舞もそんなこと望んでない」


呆れたように秀吉さんが三成君の肩を叩いたので、私も小さく頷いた。


秀吉「しかし本当に大丈夫なのか?毎年冬になるといつもこんな風になるのか?」



心配と疑い



そんな表情をされて咄嗟に目を閉じる。
目は口ほどに…というように、私は動揺を悟られないためにそうした。


「うん」


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