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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第14章 未来を変える種


大好きな人と愛を交わし…子供ができた。

本来は歓び嬉しい出来事のはず。

けれど私は暗い世界にたった一人で落とされたような、そんな気分だった。


(この時代の人の子を身籠ってしまって本当に良かったの?)


史実は謙信様に実子は居なかったとされているのに。

子供が成長し、結婚したら?
…………その相手と本来結婚するはずだった人は、違う人と結婚して……

本来生まれるはずだった人が生まれなくなる。
500年後の日本へ導いた人たちが生まれなくなる。

戦争を放棄して平和を謳歌するあの日本が、そうじゃなくなるかもしれない。


やたらと心臓が早鐘をうち、喉がカラカラになった。


教科書に載っている歴史が変わるだけじゃない、身近な家族でさえ存在しなかったことになるかもしれない。


(もしそうなったら…佐助君や私も……存在できるの?)


映画の主人公がタイムスリップして未来を変えそうになり、身体が透けて消えそうになるシーンがあった。

頭まですっぽりと布団をかぶっているのに悪寒がした。

あの時やっぱり断れば良かったと後悔しても遅い。
本能に従い理性を手放したのは私だ。

謙信様は私の意見を尊重してくれようとしていた。
私が望まないならと……。

全部受け入れたくて了承したのは私。

責任は私にある。



『この時代の人相手に深入りはしないように気をつけて』



佐助君の言葉がふと浮かんだ。

未来へ帰る足枷になるからって言われたことだったけど……未来を変えるかもしれないという意味でとても重要な言葉だと痛感した。

わかっていたつもりなのに、こうして問題に突き当たるまで…わかっていなかった。


(佐助君がいれば相談にのってもらえるのに……)


越後に帰ったばかりで、しかも雪深い季節だ。
安土に来てくれるのはまだ先になるだろう。

拙い知識ながら、妊娠して血が止まらないなら流産の可能性があることくらい知っている。


(謙信様、どうか急いで…。早く迎えに来てください)


越後に居る謙信様を強く想った。


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