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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第14章 未来を変える種


静かになった部屋で横になり、ボンヤリと天井を見た。


「これで…いいんだよね」


妊娠しているかもしれない。そう気付いた時、とっさに『妊娠を隠さなければいけない』そう思った。

妊娠を伝えれば相手は誰だという話になる。

謙信様だと言えば越後と安土の関係がこじれる可能性があって、せっかく『越後と安土が良き関係となるよう、最善の策を練って…』と謙信様が言ってくれたことが水の泡になる。

信長様と謙信様には争わず良好な関係になって欲しい。
私にとってどちらも大切な存在だから。


独りよがりだと言われようとも、譲れない。


なるべく急いで迎えに来るという言葉を信じ、それまでは隠し通そうと決心した。

謙信様に相談もなしに信長様達に妊娠を伝える、というのも個人的な理由で気が引けた。


(できることなら…一番に謙信様に教えたい)


その想いに従い、妊娠を隠すためにわざと医師の診断を受けた。

昨日まで月のものはあったと申告し、その他妊娠に繋がりそうな問診には偽りの回答をした。

その結果『はっきりとわからない』という診断をもらった。

これこそ私が欲しかった診断結果だった。

体調は崩しているけれど妊娠しているわけではない、というお墨付きをもらいたかった。

あとは秀吉さんと三成君に言ったように嘘の体質を伝え、悪阻(つわり)が酷くなった時に疑われないようにするだけだった。

秀吉さんに家康の薬を飲むと言ったけれど、妊娠の可能性があるならと昨日から服用を止めている。


「……」


秀吉さんがたくさん掛けてくれた布団を頭まで引っ張り上げた。

秀吉さん達の思いやりの心が胸に刺さって苦しい。


「……っ、謙信様…」


愛しい人の名を呟いた途端、堪えていた涙がポロリとこぼれた。


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