第14章 未来を変える種
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次の日、久しぶりに離れから自室に戻った私の元へ秀吉さんが訪ねてきた。
秀吉「舞、入ってもいいか」
「秀吉さん?どうぞ」
布団から身を起こして羽織を着た。
襖が開くと曇った顔の秀吉さんが現れ、その後ろには三成君も立っていた。
秀吉「医者に診てもらったんだってな。具体的にどこが悪いんだ?」
座るなり、秀吉さんが切り出してきた。
(お医者様を呼んで診てもらったのはついさっきなのに、もう秀吉さんに伝わったんだ…)
お城の連絡網の速さに驚く。
「はっきりとはわからないって言われちゃった」
チクン
三成「どこが悪いかわからないと、そう言われたのですか?」
「うん。眩暈も食欲低下も冷えからきているんじゃないかって。
少し発熱してるから安静にするように言われちゃった。
申し訳ないんだけど、お仕事をお休みしても良いかな」
秀吉「もちろんだ。体調が悪いならしっかり休んだ方がいい。信長様には俺から伝えておく」
チクン
痛む胸にそっと手を置いて、意を決して口を開いた。
「秀吉さん、三成君。なるべく他の人には口外しないでほしいんだけど、私の体調は段々酷くなるかもしれないの」
三成「それはどういうことですか?」
秀吉「酷くなるかもしれないって…」
秀吉さんと三成君はますます表情を曇らせた。
「もともと胃が弱くて、冬になると体調をよく崩したの」
(うそ、だよ)
「国に居た時にお医者様に診てもらったことがあって、体質だから温かくして安静にしているようにって。
酷くなると吐いたりすることもあったの。まだまだ寒い日が続くから体調も酷くなると思うんだ」
(嘘ついて、ごめんなさい)
涙が滲みそうになったけど、嘘をついている身でその資格はないと唇を噛んで耐える。
秀吉「そうなら早く言ってくれれば対処してやったのに、なんで黙っていたんだ」
「ごめんなさい。居候の身で言い出せなかったの」
秀吉「お前な~、居候だなんて水くさい言い方をするな」
暖かな手が優しく頭を撫でてくれたけど、暖かい手も、言葉も私の胸をチクチクと刺す。