第14章 未来を変える種
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離れに来て8日。
私は言い様のない不安に襲われていた。
(まだ生理が終わらない…なんだか時々お腹も痛い)
少量の出血がだらだらと続き、そろそろ終わっても良いはずの生理が終わらない。
足の付け根や恥骨付近に感じたことのないチクチク、じりじりとした鈍い痛みを感じた。
それとは別にズキッと鋭い痛みが時折下腹に走った。
(なんだか…熱っぽいし)
体温計がないのでわからないけど、首筋や内ももに触れると通常より体温が高い気がする。
ここ数日で明らかに食欲は落ち、喉に何か詰まっているような感覚がして食べ物が喉を通りずらかった。
「さすがに…なんかおかしいよね」
用意してもらった温石をお腹にあててあたためる。
女中さんが気を利かせて淹れたての熱いお茶を出してくれた。
考え事をしながら湯呑をとり、お茶の湯気が顔にかかった時だった。
「っ!」
咄嗟に顔を背けて湯呑を置いた。
茫然と湯呑を見る。
(今……湯気がすごく嫌だった。お茶の匂い?それとも…)
おそるおそる湯呑に手を伸ばし、覚悟してそれを顔に近づけた。
「……」
湯呑を置いて口を手で覆った。
(な、何?湯気を吸うと吐き気がする)
「……吐き気…」
瞬時にある可能性が頭に閃いた。
(まさか…)
温石が手から滑り落ち、畳の上に重い音をたてて落ちた。
何も持たない両手でお腹に手をあてる。
冷えからくる体調不良だと思い込んでいた様々な症状を、改めて頭の中に並べていく。
(もしかして私…………)
お腹に手をあてたまま呆然として
……しばらく身動きできなかった。