第14章 未来を変える種
そんな日が続いたある日、生理がきた。
生理中は基本的にいつもの部屋ではなく離れの部屋で静かに過ごす。
信長様にしばらく天主へ行けないと女中さんを通して伝えてもらい、作りかけの武将くまたんを持って離れへと移動した。
「寒いな…」
私の体調を心配した女中さん達があれこれ工夫してくれたけれど、芯から冷え込むような冷気が身体を苛んだ。
(体調が悪いせいか経血も少ない…)
離れに移動して2日目。通常なら経血が一番多い日なのに、あてがった布には少量の血がつくだけだった。
(それにしても今回は血の色がすごく鮮やかな気がする)
鮮血といっても良いくらい赤い。
些か不安を覚えたけれど、これ以上女中さん達に心配させるのも気が引けるし、経血の色が多少違ったところでたいしたことはないだろうと思い直した。
生理中、針子の仕事は休みだ。
一気に武将くまたんを仕上げにかかった。