第14章 未来を変える種
(綺麗な寝顔…)
何度もこうして寝顔を見た。
その度に見惚れてしまうほど、信長様は男らしくカッコイイ顔立ちをしている。
柔らかな黒髪にそっと触れ、頭をゆっくり撫でてあげるのが定番だ。
(謙信様の恋人なのに…)
謙信様じゃない男の人に膝枕をしている状況が申し訳なく、でも信長様に休んで欲しいという気持ちとぶつかり合った。
こうしていられるのもあと少し。
謙信様が迎えにきたら私は越後へ行く。
あと少しの間だけ。
血塗られた道を歩んできた方だから、
天下統一を成すまで戦い続ける方だから、
少しだけでも休ませてあげたい。
(ごめんなさい、謙信様)
瞼をおろすと拗ねた顔をした謙信様が浮かんで笑みがこぼれた。
(拗ねた顔もかっこいいんだよね。謙信様は無事に越後に着いたかな。今頃何をしてるのかな……)
なんだか眠くなってきた。
暖かい部屋のおかげかもしれない。
(夢の中で謙信様に会えたら良いのに)
フワフワと気持ちの良い眠気に、あっさりと意識が攫われた。