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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第14章 未来を変える種


「はい、わかりました。心配して下さってありがとうございます。
 あの、そろそろ手を…」


さっきからずっと掴まれた右手首を見る。


信長「今宵の勝負は俺の勝ちだ。膝枕しろ」


信長様は手を離すとコロンと寝ころんだ。
膝の上に乗った信長様の頭からジワリと暖かさを感じる。


(膝も冷えてるんだ。本当、どうしたらいいんだろう)


スパッツみたいなものを作って、着物の下にこっそり着ようかなどと考えて、諦める。


(眩暈で縫物するのも億劫だし、自分の物を作る前に武将くまたんを完成させなきゃ)


武将くまたんは本体と着物はそれぞれ完成し、刀や眼帯など小物類の製作に入っていた。
迎えがくる前になんとしても完成させたかった。

膝枕で寝ころんでいる信長様に視線を落とし、口元が緩んだ。


(信長様に似せたくまたん、着物が上手に再現できたんだよね。
 天主で何度も着物をお見掛けしていたから…)


幾度こうして天守に呼ばれ囲碁の勝負をしただろう。
思い出して胸がキュッとする。


(私が謙信様と恋人だって知ったら、お怒りになるだろうな)


囲碁を打っている時のピリッとした空気、負けたあとの膝枕。他愛もない話。


最初は緊張して疲れるばかりだったけれど、いつの間にか心落ち着く穏やかな時間に変化していた。

信長様もこの時間だけは冷たい目を暖かな色に変え、過ごしている…気がする。

信長様だけじゃない、取り巻く武将の皆も心許して接してくれているのに、私は…裏切っている。


針で刺したようにチクチクと胸が痛い。


(武将くまたんを作っても受け取ってくれないかも)


冷たい手がさらに冷たくなるようだ。


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