• テキストサイズ

☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第14章 未来を変える種


信長「油の匂いとな。つまらぬものに勝負を邪魔されたものだ」


信長様は碁盤を脇に押しやると私の右手首をとった。

そのまま信長様の方へ引っ張られ、近い距離で視線がかち合った。

真剣な表情に心臓が跳ねあがり、身を引こうとしたけれど信長様は離してくれなかった。


信長「手が冷たいな…」

「もともと冷え性なので冬はいつもこうです。
 お部屋が暖かいので本当に寒くないですよ」

信長「薬を飲んでいると言っていたが家康の薬か?」


指先で頬を撫でられる。
信長様の指がとても暖かく感じて、頬が冷たいのだと自覚する。


「はい」

信長「ならば良い。このように身体が冷えていては夜、眠れないのではないか?」

「そうですね…。
 女中さんが部屋を暖めて、お布団もあんかで温かくしてくださるのですが、なかなか…」


床下からあがってくる冷えや、どこからともなく入り込んでくる隙間風に悩まされていた。
敷布団を二枚にしてもらったり、掛布団も増やしてもらっているけれど眠りが浅かった。

女中さん達が手厚く世話をしてくれて、これ以上ない待遇なのに、それでも寒さに震えているのだから贅沢としか言いようがない。


(冷え性だけど、こんなに深刻に冷えに悩んだことなかったのに…)


気密性あり、断熱材ありの家で生まれ育ったせいなのかもしれない。
この時代にはない羽毛布団が欲しいなんて、言えない。

でも慣れなきゃいけない。謙信様が治める越後はもっと寒いんだから。


(がまん、がまん…)


信長「やせ我慢せずに寒いなら女中に言え。あやつらはそのために居る」


信長様は私の考えていることを見通したように言った。


/ 1735ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp