第14章 未来を変える種
信長「貴様の朝餉はそれだけか?」
信長様に指摘された私の膳には、品数は同じものの皆と比べると3分の1程の量しかない。
「最近お腹がすかないので量を減らしてもらいました」
そう言って湯気を立てている湯呑をとり、お茶を飲む。
視線を下ろして膳の上の料理を見ても、ちっとも食欲が湧かなかった。
秀吉「お腹がすかないって……大丈夫か?医者を呼んでやろうか?」
心配そうに秀吉さんが言ってくれたけど、お医者様を呼ぶほどじゃないと首を横に振った。
「そんな大げさにしなくてもいいよ。
消化不良とか吐き気があるわけじゃないから」
料理に箸をつけたけれど、味がよくわからない。
お城の料理人さんが作ってくれる煮物は大好きだったはずなのに。
この時代にきて初めて迎えた冬は想像以上に寒くて、常に身体が冷えていた。
家康がくれた薬はかかさず飲んでいたけど、廊下を歩けば寒風にさらされ、湯殿は寒く、湯浴みすればドライヤーがないここでは濡れた髪から身体へと冷えが広がった。
布団に入ってからも寒く、足が冷たくて目が覚めることもしばしばあった。
そのせいで不調が出ているのかもしれない。
「家康に血の巡りが悪いって言われて薬を飲んでるけど、冷えは万病のもとっていうし身体を温めるように気を付けてみますね」
かぼちゃの煮物を噛むと、ぐちゃりとした食感がして眉をひそめた。