第13章 二人の絆
信玄「君は眩しいくらい清らかだ。どうしたらそんなふうに生きられるんだろうな。
君のような女に今まで出会ったことがない。
口惜しいよ…謙信と恋に落ちる前に君と出会いたかった」
そう言って信玄様は私の髪をひと掬いして口づけを落とした。
「っ!!」
信玄「舞…身分問わず皆が幸せに暮らせる世……俺もそんな世がくることを信じたい。
俺の国だけでなく、この日ノ本全てが。
か弱い体の中に途方もなく大きな野望を持っていたんだな。
君の願いが叶うように俺も尽力するよ、謙信と共に」
『謙信と共に』そう言ってくれた。
ハッとして見ると信玄様の目が優しく細められた。
艶めいた魅惑の人でもなく、鋭い爪を隠す獰猛な虎でもなく、信玄様の本当の姿を見た気がした。
もう私に危害をくわえる人じゃない、そう思えた。
無理難題であろうと謙信様と策を練ってくださるだろう。
(謙信様と信玄様の絆が守れて良かった!)
心の底からホッとした。