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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第13章 二人の絆


「人それぞれだと思います。
 私が生まれ育った国はもう長いこと争いがありません。
 皆が平和に暮らし、命の危険に怯えることなく自由に生きています。
 敵味方の概念が薄いのはそのせいかもしれませんね」


戦国の世に身を置いていると、500年後の世がどれほど平和で幸せだったのか身に染みてわかる。

話しているうちに懐かしさがこみあげた。


(なんだか急にホームシックになっちゃったかな)


現代へは帰らないと決めたはずなのに、少しだけ寂しさに支配される。


信玄「桃源郷のような国だな。この日ノ本のどこにそんな国が……。
 姫は国へ帰りたいと思わないのか?
 戦の絶えない謙信の元に居て、心痛まないのか?」


信玄様の言葉にキュッっと胸が縮んだ。


「懐かしむことはあるでしょうけれど、帰りません。謙信様に心奪われてしまいましたから。
 これ程私の心を捕える方はどこにも居ません。生涯ただ一人の方です」


平和な現代を懐かしむ心はあっても、謙信様が傍に居ないのであれば何の意味もない。


「こんなふうに想える人と出会えて幸せです。
 今は争いごとが絶えませんが、いつか身分問わず皆が幸せに暮らせる世がくると信じて……謙信様のお傍に居たいと思います」


嘘はない…けど、ちょっぴり寂しさに負けて涙が出た。


信玄「罪な男だな、謙信は。
 桃源郷のような国からきた天女を虜にし羽衣を奪ったんだな」


節くれだった大きな手が髪を梳いてくれた。
とても心地良い手つきで寂しさが少し紛れた。


「ありがとうございます、信玄様。でも私は天女じゃありません。
 お伽話の天女は羽衣をみつけて天に帰ってしまいますが、私は自分から謙信様のお傍を離れることはありませんから」


(ああ、謙信様の話をしていると胸があったかいな…)


昨夜会ったのに、もう会いたくなった。


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