第13章 二人の絆
信玄「君に袖にされた男は数多いだろうな」
「……?そんなことないですよ。
今まで生きてきてモテた事なんて一度もないです」
信玄「それはきっと君が無意識に男の好意を袖にしているからだろう。
落としがいがありそうだが今は手を引くとしよう」
信玄様は苦笑い混じりのため息を吐いて立ち上がった。
信玄「玄関まで送るよ。今日は無礼なことをしてすまなかったな。
次に会った時はぜひとも挽回させてほしい。
このままでは君の中で俺は最低の男だろうからな」
自然な動作で手を差し伸べられた。
(手を取れってこと?)
押し倒された真新しい記憶が蘇る。
信玄「もう何もしないから、おいで」
蕩けそうな微笑みで促されおずおずと手を伸ばした。大きな手に手を重ね、立ち上がる。
結局使われることのなかった墨と筆を残し部屋を出た。