第13章 二人の絆
「信玄様、どうか謙信様と話し合って頂けませんか?
謙信様は越後へ帰ったら安土と手を結ぶための策を考えると言っていました。
その策に信玄様の意向をねじ込むくらい、頭の良いあなたならできるんじゃないですか?」
本当は策が他にあるのに、わざと私に手をかけたんじゃ…と勘ぐったけど信玄様は肩を竦めて苦笑した。
信玄「それがなかなか難しいから君を陥落しに来たんだが君は触れたらいけないものだった。
君の言うとおり越後へ戻り謙信と難題にとりかかることにしよう」
(信玄様の問題を解決するのは一筋縄ではいかないんだろうな…)
この時代の仕組みがよくわかっていない私にはどうすることもできない。
「そうしてくださるととても嬉しいです。
戦ではなく話し合いで解決するなら何よりだと思います」
信玄「話し合いで、か。信長気に入りの姫であり謙信の妻になろう女が、実は戦嫌いで心優しい姫だと知ったら日ノ本中ひっくり返るだろうな」
おかしそうに笑って信玄様がお茶を飲んでいる。
湯呑を置いて息をつくと信玄様がふと艶やかな視線を送ってくる。
(なんだろう。ほんと、イチイチ色気のある方だな)
ドギマギして視線を受け止めていると
信玄「簡単に摘み取れそうなのに意外に気が強いところも、そうやって俺の仕草に逐一反応してくれる初心なところも、全部ひっくるめていい女だな。君が欲しいよ」
「え………?ま、またご冗談を。本当に好きになった方に言ってあげた方が良いですよ。
では私はそろそろこの辺で…」
湯呑のお茶はすでに飲み干した。