第13章 二人の絆
「攻め落とされません!!絶対っ!」
信玄「人間に絶対はないぞ?」
「こんなふうに迫られて落とされる人間がどこにいますかっ!!
もっと女心を勉強した方がいいんじゃないですか!?」
信玄様はくっと喉を震わせたかと思うと笑い出した。
体重をのせられ抑え込まれているのでダイレクトにその振動が伝わってくる。
信玄「……ふっ、はは!まさか君にそんなこと言われるなんてな!
そうだな、君を落とすのはなかなかに難しそうだ。
とりあえず今は退くとしよう」
身体を抑えこまれていた重みが呆気なく離れた。
身を起こしていそいそと着物を直してあらためて向かい合わせに座った。
「……それでこれからどうするんでしょうか?
謙信様に不利益が生じるようなことをするなら黙っていませんから」
お腹の底がふつふつの煮えくりかえって、声色にも怒気が混じる。
信玄「君に危害を加えるのは今のところはやめておくとしよう。
君を無理やり抱いても心は折れなさそうだしな。それに…」
信玄様は人差し指を立てて自分の胸の中央を何点かついた。
「?」
信玄「君のこの辺りに謙信の所有痕が咲いていた。それも驚くほどたくさん…な?」
「!!!」
両手で胸の前を隠す。
信玄「君の肌を見た範囲はそう広くない。
それなのにあれ程多く咲き誇っていた。謙信が君にどれほど執着しているのか一目でわかったよ。
君を無理やり奪ったり殺めたら謙信が狂う。
あいつが狂えば平気で破滅の道を選びかねない。
俺にとっては信長と手を組まれるよりも厄介なことだ」
「………」
お風呂で擦り傷を作っただけで不安そうな顔をしたのだから、私が傷つき最悪死んでしまったら信玄様がいう事は当たっている。
「………良かった」
信玄「ん?そうだな、君の身体は奪われずに済んだ。今のところだがな」