第12章 看病七日目 木製の鈴
謙信「この布団は心地良いな。舞の香りがする」
「っ!」
謙信様は目を閉じてくつろいでいる様子だ。
「なんだか恥ずかしいです…」
そう言いながらも自分だって謙信様の香りがとても好きだ。
相手の香りで落ち着けるなんて気恥ずかしいけど幸せ。
「謙信様の香りも好きです。とっても安心します…」
スンスンと猫のように鼻をならす。
謙信「ふっ、お前は猫かうさぎか?さあ、目を閉じろ」
手の平で瞼を撫でられ、目を閉じた。
お昼寝した時のように身体がすぐぽかぽかになり、眠くなってきた。
髪を何度も梳かれ、とても気持ちいい。
「私が越後に行ったら時々こうして一緒に寝てくださいね?」
まどろみながらお願いすると、腰に回っていた腕に力が籠った。
謙信「時々などとぬかすな。お前の褥は俺と一緒だからな」
「ふふ、嬉しいです。謙信様……大好き。
おやすみなさい…」
謙信「ああ、おやすみ」
低く心地良い声で囁かれ、満ち足りた気持ちで眠りについた。