第12章 看病七日目 木製の鈴
むに
「ふむっ!?」
突然鼻をつままれて笑いが引っ込んだ。
「なにふるんへすか!?」
謙信「あぶなっかしいお前の身を案じているというのに腑抜けた顔で笑うからだ」
「す、すみまへん……」
鼻が詰まった声で謝ると、謙信様が肩を震わせて笑った。
謙信「くくくっ、お前の方こそ面白い女だな。ふっ」
謙信様が笑うと褪せた金髪も細かに揺れ、光を跳ね返す。
(こんなに笑ってる謙信様、はじめて。かっこいいな…)
しばし二人で笑い合い、言葉を交わしてはまた笑い、口づけしては抱き合い、別れを惜しんだ。