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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第12章 看病七日目 木製の鈴



謙信「……ずっとお前の寝顔を見ていた。愛らしくて眠るのが惜しい…さっきのは寝たふりだ」

「寝たふりっ!?私は寝てから今まで、ずーっと謙信様に見られていたってことですかっ!?」

謙信「そうだ。何やら寝言も言っていたし、口も少し開いていたぞ」


(嘘っ!?)


ばっと自分の口を隠す。


「……恥ずかしくて合わす顔がないです」


謙信様みたいに飛びぬけて整った顔なら口を開けて寝ていても『かっこいい』で済むけど、私はそうじゃない。

とてもじゃないけど『可愛い』と言われるような寝顔じゃない…多分。

謙信様の胸に額をくっつけて顔を隠す。


謙信「それは困る。充分愛らしいと何度言えばわかる?」


慰めるように髪を梳かれて、幾分気持ちが落ち着いてきた。
でも恥ずかしさは残り、顔はあげられない。


謙信「……お前といると、時があっという間に過ぎるな。
 もうそろそろ帰り仕度をした方がいい」

「っ!まだ早すぎませんか?もう少し…一緒に居たいです」


まだ夕暮れには早い。あと少しだけ、こうしていたい。


「次にお会いできる時までの分、まとめて抱きつかせてください」


背中に手を回してぎゅっとしてみる。

しなやかな身体に自分から触れてドキドキする気持ちと、迫りくる別れの切なさが重なる。


(もう少しでお別れだ…寂しいな)


謙信「……弥生(3月)のはじめには迎えに来る。
 それまでに家臣達を説得し輿入れの準備をしておく。
 越後に遅い春がきたなら、花が美しく咲き乱れる日にお前と祝言をあげよう」


祝言と聞いて思わず顔を上げた。


謙信「ふた月と少しだ。待っていられるか?」


切れ長の瞳が心配そうに細められた。
 

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