第11章 看病七日目 愛を交わす(R18)
謙信様の左胸に手を当てて誓った。
「万が一何かあった時は最後まで諦めません。
深手を負わされようと、辱めを受けようと、不慮の事故に合おうと…病気になろうとも」
想像してしまったのか謙信様が顔をしかめた。
「万が一、のお話です。私は絶対生きることを諦めません。
私が死んでしまえば謙信様の心が死んでしまうから。あなたを守るため絶対死にません」
伊勢姫様との出来事は完全に癒えるものじゃない。私を失うことを恐れずにはいられないだろう。
それでも私を愛する道を選んでくれた人を…幸せにしてあげたい。
謙信様が抱く不安はすぐには消えないものだとわかっている。
幸せな日々を重ねていくしかない。
「幾日、幾百、幾千の日々で証明してみせます。
謙信様は愛する人を不幸になんかしない。私を…幸せにしてくださる人だって」
謙信「っ!」
強く身体を引き寄せられ、頬にピタリと謙信様の胸があたった。
謙信「……能天気な頭をしているかと思えば、時に人の心を斬ってみせる。お前は恐ろしい女だな」
「そ、そんなつもりはないですけど…」
謙信「いつも俺の弱さを見出し、救いの言葉をくれる」
濡れた指先で顎を持ち上げられた。
謙信「万が一など俺の傍にいる限りない。だがお前の言葉、しかと覚えておく。
お前を幸せにすると約束する」
曇っていた表情が明るくなり、綺麗な笑みが浮かんだ。